皆さんこんにちは。2020年3月15日にこの記事を書いております。世間では新型コロナウイルスのニュースが、世界規模の感染拡大を伝えております。
先日、こういったコメントを頂きました。
「一般のスポーツジムには、無料体験レッスンがあって、そこで新規のお客さんを呼んで長期会員に育てていくようなシステムがあります。ボルダリングジムには、無料体験という仕組みがないように思います」
そうですね、ボルダリングジムには無料体験のシステムがありません。実は、私は昔、ボルダリングジムの経営をしていたのですが、そこでこのような仕組みを作って失敗したことがあります。
無料体験ではなかったのですが、体験20分間500円みたいなシステムです。無料に近い感じなのですが、地方都市のうちのジムでは失敗でした。このシステムで成功するボルダリングジムもあると思いますが、うちのジムで失敗した理由としては、体験の価格を低くしてしまうと収益性が下がり、その割に仕事量が増大してしまう点です。
新規のお客さんが1人1回2700円を支払う仕組みでした。そうすると、500円のお客さんは、6倍の人数が来てくれないと元が取れません。
実際にどうだったかというと、せいぜい2倍くらいしかお客さんが増えないのです。そして、お客さんが2倍になると仕事量が結構増えます。説明したりするのにかかるスタッフの仕事量は、2700円システムでも500円の格安システムでもほぼ変わらないのです。
収入が3分の1になって、仕事量は倍になる仕組みなんてボルダリングジム側からしたら絶対にやりたくないシステムですよね。なので、一瞬でやめました。そりゃ、お客さんからしたら安くて便利な仕組みかもしれませんけど、残念ながら利益を生まない仕組みなのでうちはそういう仕組みはとらないようにしました。
ただ、こういう店舗ならうまくいく可能性があるというところで、都会のとても狭いボルダリングジムならばうまくいく可能性があります。
例えば20坪のかなり狭い店舗だと、お客さんが半日や1日長居されると困るんですよね。むしろ20分500円みたいなシステムで、お客さんの回転率を上げた方が効率がよいです。とにかくお客さんの回転率重視のジムだと上手くいくシステムだと思います。
次に上手くいきそうな例としては、観光地にある遊具的なボルダリングウォールです。子供向けで30分500円という仕組みで実用化していた例がありました。
観光地なので、基本的にお客さんは1回きりの観光客なんですね。リピーターとか元々から全く狙っていない施設ですと、超うまく回ります。30分500円というのが、例えば4歳、5歳くらいの子どもを遊ばせておくのにすごく適した時間なんですね。
だいたい子どもが飽き始めるのが30分くらいで、だいたいその頃で時間がきて、タイムアップで他に行こうかという絶妙な頃合いです。
比較的、お客さんの回転もよくて、よい感じでしたが、そこはボルダリング壁を子ども向けだったけど完全放置していました。説明とかも全くなし。
あれで、まあ事故とかちょこちょこあっただろうけど、893系っぽいオーナーだったのでびびって苦情はなかっただろうと思います。
話は元に戻って、ボルダリングというのは、ちょっと普通のスポーツジムとは違って、体験を売る商売だと思うのです。
その体験というところで、大幅な値下げをしてしまうと経営は苦しくなります。
ボルダリングの中級、上級者はもう体験なんてレベルは超えてしまって、エクササイズとしてボルダリングをしておられます。しかし、そういうレベルの高いお客さんはごく一部でございまして、一般的な初心者は体験を楽しみたい。だから、そこにそれなりに高いお金を払ってもらう仕組みが必要だったのかなと思います。