ホールドづくりのこだわり

私がボルダリングジムを2006年に立ち上げたとき、クライミングホールドが大変高価なことで苦労しました。資金も少なく、十分な数のホールドが確保できませんでした。ホールドが少なく、スカスカの壁で営業をはじめたのを思い出します。

 

クライミングホールドが高価な理由としては、製造量が少ない、大量生産できない特殊な商品であること、輸入品が多いということが挙げられると思います。

 

クライミングホールドは、大変供給量が少なく、大企業が参入している産業でもありません。通常の工業製品は、1つの商品を月産で10万個、100万個みたいな大量生産のロットで作るのですが、クライミングホールドは1つの商品のロットは月産10個、その代わりに種類は1000種類のシェイプみたいな感じになりますので、効率が悪いです。

 

 また、クライミングホールドはヨーロッパ、北米からの輸入品が多いです。それらの地域がクライミング先進国であったため、有名なクライミングメーカーはそれらの地域にあります。

 

クライミングホールド、ハリボテは大変かさばり、そして重たい商品ですので、それらを梱包してコンテナに詰めて船便で日本に輸送されてきます。通常、年間2回程度、船便で送られてくるらしいのですが、それらの輸送代、中間業者のマージン、日本での倉庫代などもホールドに乗っかってきます。そのためクライミングホールドは高価なのです。

 

クライミングホールドが高価な理由は、分かったのですが、この高価なホールドをなんとかしたいと考えました。そして、自作できないか考えました。高価なホールドで困っている人が私以外にも世の中にいるに違いないと考えたからです。

 

みようみまねで試行錯誤を繰り返しました。クライミングホールドの作り方を日本語で詳しく説明したWebページというものはありませんでした。基本的にクライミングホールドメーカーにとって、ホールドの作り方、材料、配合等は門外不出の企業秘密ですので、社外に公表されるはずがありません。

 

しかし、外国のメーカーにはそういう情報を英語ではありますが、一部公表されていたりしていて、断片的な情報を集めて自作のクライミングホールドの試作を続けました。1年ほどかかりましたが、安定したクライミングホールドができました。

 

価格も従来のメーカー品よりもかなり安い価格になりました。しかし、マーケティングの腕が悪く、今のところ大ヒットで売れまくりというわけではありません。しかし、一歩一歩、クライミング愛好者に好かれるようなクライミングホールドを作っていきたいと考えております。よろしくお願い致します。