ボルダリングの経営が苦しくなる理由

ボルダリングジムの経営が苦しくなる理由について語った動画です。音声主体ですので、聞き流しでどうぞ。

 

 

 

 

ボルダリングジム経営が苦しくなる理由

 

近頃、ボルダリングジムが経営的に苦しくなって閉店するケースが増えております。私も過去にボルダリングジムを経営しておりましたので、その経験を踏まえながらお伝えして参ります。

 

ボルダリングジムの経営が行き詰まる理由として、一番多いケースは、ボルダリングがブームのときに物件の契約をしてしまっており、高い家賃で契約してしまったというケースでしょう。ボルダリングジムは、個人ではじめた、脱サラしてはじめた。みたいなケースが多く、資金力に乏しい零細の事業者が多いです。なので、自前で物件を所有しているというケースは圧倒的に少なくて、賃貸物件が多いです。

 

ボルダリングジム経営というのは、物販を除いては粗利がほぼ100%という大変粗利率の高い商売です。ラーメン屋さんなどは、ラーメンの麺、スープ、具のように原材料を仕入れないといけませんので、原材料費がかかりますが、ボルダリングジムの場合には何かを仕入れて売るというようなビジネスではないです。大変粗利率が高くて、仕入れにかかるコストも物販を除いてはほぼゼロという大変、高利益率なビジネスです。

 

そういう高い利益率が見込めるということで、ボルダリング人口が増えていた時期にボルダリングジムが全国各地に建設されました。

 

一時期は、ボルダリングジムを建てさえすれば、ある程度のお客様は見込めたのでかなり強気の立地で、高い家賃を支払っていても利益が見込めました。しかし、この頃はボルダリングジムがたくさんできたので、顧客が分散するようになりました。新規のお客様も、一度はボルダリングをやってみたいという方は、需要が一巡してしまいました。

 

そうすると、増えていたボルダリングジム利用の需要が頭打ちになってきました。そこで困るのが、かなり高い家賃を支払って建物を借りているボルダリングジムです。

 

例えば、月に30万円の家賃を支払っていたボルダリングジムで業界の景気が良かった頃は、毎月のボルダリングジム利用料の収入が100万円あったとします。その他の経費が40万円かかっていたとして、利益は大雑把に30万円なので、かなりの高収益です。しかし、この頃はお客様が減ってきて、ボルダリングジム利用料の収入が60万円まで減ってくると毎月の収益が10万円の赤字ということになります。これぐらいなら、頼んでいたアルバイトさんを減らすなどやれば、ぎりぎりなんとかやっていける水準ですが、とても厳しいことには変わりがないです。

 

家賃30万円で儲かっていたときは混雑していたボルダリングジムもお客さんが減ってくるとガラガラになってきます。しかし、ガラガラになったからといってもエアコンの電源を切るわけにもいかず、一部の照明を消すということも基本的にはできません。節約できることもたいていは限られます。

 

本来はジムがガラガラになってのであれば、手狭で格安な物件に引っ越したいところですが、ボルダリングジムで一番お金がかかるのがボルダリングウォール、つまり壁の建築費用です。

 

手狭な物件を広くする、例えば30坪の物件で手狭なので100坪の大きな広い物件に引っ越したいというときには、基本儲かっていてさらに利益をあげようというので融資もつきやすいです。しかし、逆の場合には100坪の物件を取り壊して、手狭な30坪に住み替えるというのは売上を下げる方へすすむわけで、融資もつきづらいです。あと、敷金、不動産手数料など多額の手間と費用がかかるのでそういう手狭なほうへ住み替えは基本的にできないです。

 

そういうことを考えますと、広くて高い家賃を借りてしまったオーナーさんは、お客さんが戻ってくるのを期待する以外には、打てる手立てがほぼなくて、ジリ貧のまま赤字に耐え続けるしかないような状態です。

 

基本的には、身の丈にあわせて規模を小さくするということはできずに、赤字のままだんだんできる手立てがなくなり、最後に閉店するという感じになってしまいます。スケールを小さくするという手法が使えるなら、生き残れるボルダリングジムも多くあるのだろうとは思いますが、日本特有の敷金、礼金、敷引などの不動産慣習などもありまして、スケールを小さくするのは難しいです。この辺はなかなか難しい問題だろうと思います。