チッピングは禁止

 

野外の岩場で登られる方で最も忌み嫌われるのがチッピングです。チッピングとは、クライミングホールドを岩に刻む行為のことです。自分が登れなかったからといって、岩にホールドを刻むことはクライマーの中では一番の禁止行為になっています。稀に、ガバホールドを自分で故意に叩き壊してルートや課題を改変するチッピングもあります。

 

私も長く外の岩場を登っていましたので、気づくことがあるのですが、Aという課題とBという課題の間にもう一つホールドがあれば、AとBをつないですごくよい課題ができそうだなあと思ったりします。

 

そこで欲しい部分にホールドを刻み込んでしまったら、それがチッピングなんですね。これは絶対にやっちゃいけない。

 

なんでやってはいけないかというと、たぶんですね、その人にとってはそこにホールドがないから登れないかもしれないけど、あなたではない将来のツヨツヨなクライマーが出現して登ってしまうかもしれない。で、それで登ったものがすごくよい課題になるかもしれないのです。

 

私の周りではこういうことがあったのです。よく、一緒に登っていたベテランの先生がいてルート開拓をやっていました。あらゆるところの岩を見つけては、いっぱいルートを作っていたのです。

 

基本的にはルートクライマーなので、ボルトを打って、だいたい高さ10~15mほどのルートを作るのが得意な人でした。あるとき、岩探しで高さ5mほどの岩を大量に見つけてしまったのです。それもすっごい傾斜のあるやつ。

 

しかし、その時はあまり興味がなかったので、ルート開拓せずに放置しておいたということです。するとその10年後くらいに、超絶強いクライマーによりルート開拓されまして、日本でも有数の超難しい課題が量産されました。

 

いろいろ異論はあるかと思いますが、自分の手には負えないような岩を見つけたら後世のためにも放置しておけるということも開拓系クライマーとしては重要なことかもしれません。違う人が開拓したら結構よい課題やルートを作ってくれる可能性があるってこともあります。

 

とにかく、岩を傷つけないように細心の注意をはらうことが必要だと思いますね。

 

あと、ワイヤーブラシ等で岩を擦っていると岩の質によっては、岩が削れてホールドが変わってしまう可能性もあります。その辺も注意です。長年削れば、立派なチッピングになってしまいます。

 

とにかく岩は無意味に傷つけない。そういう配慮が必要ということですね。