皆さま、こんにちは。
2020年3月23日に、この記事を書いております。
世界中に新型コロナウイルスの感染が広がっており、特にイタリアで死者が増えているそうです。感染の拡大とともに経済の混乱が気になるところです。
ボルダリングジムとしても、非常に困った問題でございまして、スポーツジムが感染を拡大させる場所として名指しで営業自粛を要請されました。公共の施設は、ほぼ閉鎖なのですが民間のボルダリングジムで営業自粛したところは少数のようです。それは、そうですよね。1か月でも休業すれば、資金が底をついて潰れるのは目に見えていますから。自分は以前にボルダリングジムを経営していたのですが、仮に今も経営していたなら、休業できたかというと絶対無理だっただろうなと思います。
まずは、一時的なというか、新型コロナウイルスの直接的な打撃もあったと思いますが、次にやってくるのが不況による影響です。
私の経験から申し上げますと、不況もボルダリングジムの経営に影響を与えます。
以前にあった不況ですと、記憶にあるのはリーマンショックのときですね。その頃は、まだ1店舗だけの経営でした。
かなり常連のお客さんがいらっしゃって、30代のサラリーマンのお客さんでした。リーマンショックで、日本全国で不況になったときに、ちょっとお顔を見なくなりました。
で、次に、久々にジムに来られて、
「ジムでバイト雇っていないですか?」
と聞かれるんです。びっくりして、いろいろ詳しく聞きますと、自動車工場向けに部品を作っている工場で働いておられるということでした。その時に、輸出向けの自動車が全然売れなくなって、その影響で自分のところの工場で納品する部材も全く注文が来なくなったそうです。それで、なんと週休3日になってしまって、さらに平日の出勤時間等も少なくなって、残業も全部なしになってしまったと言います。
それで、給料も支払われるけども、全体の3分の2ほどになってしまった。何かアルバイトでもやって、稼ぎを増やしたいとおっしゃっていました。さすがにうちの方でも人手は足りていたので、断りましたが結構大変な感じでした。
どんなに不況になっても、地震や台風が来ても必ずジムに来てくれる熱心な方はいらっしゃいます。そういう方は雨が降ろうが槍が降ろうが絶対に来てくれるので安心です。
しかし、やっと常連になってくれて、これから上手くなっていくだろう方が、不況で給料が少なくなって、奥さんやお子さんがおられると、一番の削減対象になるのがボルダリングジムの利用料なのです。
例えば、手取りで30万円の給料があったサラリーマンの方が、不況で給料カットになると手取りで20万円程度になってしまいます。すると、住宅ローンの支払いや、食費、光熱費の支払いなどは優先されて、10万円分、何を削減するかとなると、真っ先に上がってくるのがボルダリングジムの利用料金かなと思います。
こういう感じで来れなくなるんですね。そして、ボルダリングジムとして一番痛いのは、一度、ボルダリングジムに来る習慣がなくなった人は、なかなか復帰しにくいということです。
というのが、一時期常連さんだった人で、そこそこ登れていたとして、3か月離れてしまって、復帰したとします。すると、それまで同じくらいの実力だった人は、3か月分上手くなっていて、自分は元の状態に戻すのですら苦労する状態になります。
例え復帰したとしても、以前に自分より登れなかった人に先を越された状態っていうのは、実際に居心地が悪かったりします。そういうのも気にしないくらいクライミングが大好きだったら問題ないのですが、そういうことで心が折れてしまう人は結構多いです。
せっかく常連さんまで育ってきた人が、経済的な理由で辞めていくというのを見るとこれが一番悲しいかなと、経営側からするとそう思います。
新規の人が来ないとか、団体さんの予約がキャンセルになるというのも、経営的に痛いのですが、せっかく育ってきた常連さんが辞められるのが一番痛いです。
そういうのも見ていくとは思いますが、現状で一気に景気がよくなることはないので、不要不急の設備増強とかは見合わせて、経費を節減しつつ、じっと我慢の経営になるかと思います。
そういうお話でございました。