クライミングを仕事にする

クライミングを仕事にするについて解説した動画です。基本的には音声だけですので、聞き流しでどうぞ。

 

 

 

 

本日は、クライミング産業で生計を立てるというお題でお伝えして参ります。私も一応、クライミングホールドやハリボテを作って売りながら生計を立てております。クライミング産業といっても色々な職業がありまして、若い人で自分はクライミングで飯を食っていきたい!と思っている人もおられると思います。全部が全部、分かるわけでもないですが、研究していこうと思います。

 

・プロクライマー

・ボルダリングジム経営

・ルートセッター

・クライミングホールド職人

 

とりあえず、以上の4つの職種について解説していこうと思います。

 

プロクライマー

 

プロクライマーは、有名なコンペ(ワールドカップ、オリンピック)などで優勝するなど好成績をおさめる必要があります。上記の4つの中で最も厳しい仕事だと思います。

 

まず、子どもの時からクライミングに触れていることが大切です。平山ユージさんの時代は、高校生からはじめてすごく若手と言われていて、プロになることもできましたが、今では高校からはじめてプロになれるほどやさしくありません。だいたい小学生の頃からクライミングをはじめておく必要があるでしょう。

 

小学生の頃からボルダリングジムに通い、ジュニアの大会で好成績をあげていく必要があります。その後、中学生、高校生の頃には、国際的な大会に出場しないと今はとてもプロにはなれません。

 

無名な時代に、国際大会に出場するためには、自腹で遠征費(移動費、ホテル代など)を捻出しなければなりません。経済的な負担もかなり大きいです。オリンピック競技になりましたので、有名な選手になって日本代表レベルになればスポンサーから遠征費が支給されるのだろうと思いますが、日本代表になるためには熾烈な競争を勝ち抜く必要があります。

 

コンペで有名になってプロになる他には、自然の岩場で難しいルート、課題を登りまくってプロになるという方法もあります。だいたい若い頃にコンペで優秀な成績をあげていたけれど、コンペという枠組みが嫌になって自然の岩場で勝負していくというプロクライマーもおられます。コンペという客観的な成績がない以上、自然の岩場で目立つ成果を上げるのは大変難しいです。また、自然の岩場で難しいルートを初登してもスポンサーに理解されにくいという欠点もあり、これも大変難しいです。

 

 

ボルダリングジム経営

4つの中では一番簡単なのがボルダリングジム経営です。登るグレード等は特に関係ないですが、高いグレードを登れないよりも登れた方がやや有利かなと思います。それは自分で営業用のルートセットができるからです。ルートセッターさんに支払うお金を節約することができます。

 

ルートを登る技術よりも経営・マーケティング的なセンスが必要とされる仕事だと思います。なお、ボルダリングジムが少なかった時期は、建てさえすれば必ず儲かるという仕事でしたが、今はボルダリングジムが多数あるため、非常に経営は難しくなっています。

 

細かい経営の仕方は別の動画で詳しく解説しますが、資金を貯める必要があり、必要な資金の総額も年々増えているのでリスクが高い仕事になりつつあります。

 

なお、プロクライマーが晩年にボルダリングジムを経営する場合が多くなっています。プロクライマーとして培った経験と実績を一番有利に活かせます。また、プロクライマーで築いたクライミング界の人脈も活かせるのでボルダリングジム経営をされる方は多いです。

 

 

ルートセッター

 

ルートセッターも大変難しい仕事です。登るスキルとしては、プロクライマーに準じる程度の経験・実績が必要です。たくさんの国際的なコンペ、自然の岩場での経験をクライミングの課題、ルートセットに押し込んでいくというようなお仕事です。

 

営業用のジムでの定期的なルートセット、ホールド替えが主な仕事になります。1日あたりいくらという金額でボルダリングジムのオーナーさんと契約して仕事をすることになります。

 

少ない時間でたくさんのルート、課題を作ります。お客さんが面白いと満足する課題を作ってなおかつ、グレードまでドンピシャで合わせるのは、ほぼほぼ職人芸です。

 

さらに日本屈指のルートセッターともなりますと、登らなくてもグレードぴったり、そこそこ面白いみたいなルートを作れます。3本のルートを同時並行でホールドを付けるなど人間離れした芸当もやれます。職人気質の人がよいと思います。

 

なお、グレードを間違うとお客さんからけちょんけちょんに言われます。また、コンペでやたら難しい課題を作ったりするなど、やらかしますとたくさん批判されます。基本的には、コンペが順調にいってもあまり褒められないけども、何かやらかした時だけ批判をあびるちょっと可哀そうなお仕事だと思います。

 

なお、自分と契約してくれるボルダリングジムとの絆というか営業力が必要です。営業的なセンスのない人は、大変厳しいお仕事だと思います。

 

 

クライミングホールド、ハリボテ職人

 

日本にはあまりいないと思いますが、クライミングホールドやハリボテを作る職人という道もあると思います。登れるグレードは全く関係ないです。

 

誰か職人の見習いをさせてくれる人を見つけるのが一苦労だと思います。基本的に素材の合成方法、製造方法などは企業秘密です。独学でそれらの方法を開発するか、人づてに教えてくれる人を見つけるかのどちらかだと思います。

 

いつかはそういうホールドメーカー等ができて、工業的に製造されるようになる可能性もありますが、今のところは1人または2人程度の小規模事業者がクライミングホールドを作っている場合はほとんどです。

 

製造方法が見つかったとして、独自に販路を拡大するのも大変です。マーケティング等のセンスも必要な仕事だと思います。

 

 

他には、クライミングギア等を海外から輸入してくるような輸入代理店、クライミングをしながら全国をまわりつつ動画をアップするクライミングYoutuber、ボルダリングジムの建築専門の壁大工などもあるでしょう。

どれも大変な仕事だと思います。

 

なお、私の経験上、ボルダリングが毎日やりたいなら、普通にサラリーマンをして仕事の後や余暇を利用してボルダリングをされるのが一番だと思います。毎日、ボルダリングばかりを仕事にして自分のボルダリングができている人は意外と少ないですので。

 

どれも専門的なお仕事ですので、それなりに大変ですが、若い方でどうしてもボルダリング、フリークライミングを仕事にしたい!というのであれば挑戦してみたらよいでしょう。