クライミング上達法 ケガ対策の動画です。基本的には音声だけですので、聞き流しでどうぞ。
クライミングとケガについてです。フリークライミング、ボルダリングはケガの多いスポーツだと私は思います。ボルダリングジムの経営をしていて、ケガをしているお客様を多数見てきましたし、自分の多少はケガしながらクライミングをやっていました。
一番多いケガは、指のケガだと思います。ちょっとはっきりした統計とかは持ちませんが、指の故障したというお客様は多数いました。自分は生まれつきだろうと思いますが、指は強い方でして、すさまじい指のケガというのはありませんでしたが、トレーニング量が多くなると慢性的に指の関節が痛くなることはありました。少し練習量を減らすと治るレベルだったのでたいしたことではなかったです。
指というのは、岩やホールドを掴む大切な部分で、クライミングをしますと日常的に使うよりも何倍も強度を指にかけてしまいます。さすがに1本指で全体重をかけるというのはプロなど一部のエキスパートのみだと思いますが、指2本で懸垂ならそこそこ上手いクライマーならやっているのではないでしょうか。日常でお箸を持ったり、ペンを握ったりする何グラムという仕事からすれば、1本の指当たり約30キログラムという負荷はかなり指にダメージを与えます。
ただ、そういう訓練をしていくとそれなりに指も強くなりますし、日常的に訓練をしている人の指ならば、酷な環境にも耐えられます。
意外と大きくケガするのは、ちょっと経験が浅い、1年程度で一気に上手くなった人の指の故障は深刻な場合が多かったように思います。大学生くらいの若い子で、週3回くらい練習をずっと1年続けますと、結構なグレードを登れるようになります。
腕の筋力とかは、1年でかなり発達しますけども、指まわりの筋力というか関節のスジみたいなところは1年ではそんなに発達しないみたいなんですね。そこでアンバランスになっていて、無理して細かいホールドを保持したら、指を故障したみたいな例があります。
だから、1年程度で一気に上手くなったような人は十分気をつけましょう。
他にケガしやすい部位としては、肩、手頸などでしょうか。
やはり上半身のケガが多いですね。ときどきマットで足をひねって足首をねん挫とかありますけども、クライミングのケガは上半身が多いと思います。
肩や手首のケガは、すごく治癒するまで長くかかりますので注意しましょう。詳しい治し方とかは、私は医療関係者じゃないので分からない部分が多いです。詳しい人に聞いてください。
私も手首をケガしたことがありました。無理してアンダー系のホールドをとったときに、グキっとやってしまって、それから完全に治るまで半年くらいかかりましたね。もう練習時には、テーピングを手首にぐるぐる巻きですよ。それで厄介なのは、ある角度に手首が曲がると激痛なんですよね。ある方向以外は全然痛くないけども、とある方向に手首を曲げると激痛が走って、もう半年くらい激痛との恐怖と戦いました。
あと、ケガした後なんですが、大問題がありまして、練習を継続するかどうか。
基本的にはケガした後は練習を休むのがセオリーだと思います。しかし、練習しないのは結構精神的に大変なんですよね。ライバルに置いていかれるんじゃないかと。あと、休んでしまった後にライバルに大幅に遅れをとって、そこでモチベーションが切れてクライミングから引退した人も多いです。
すごく難しい問題です。私の場合は、精神衛生上よくなかったので、登りながら手首のケガと向き合うことにしました。やっているうちにある方向に曲げると激痛が走るのですがそれ以外は大丈夫っぽいことが分かりましたので、その辺を考慮しながら練習を継続しました。日常的に痛いケガではなかったので、その辺はついていたなと思いました。
ケガしないためには、ウォームアップやストレッチをきちんとすることです。
特に年齢が上がってきますと、ウォームアップなどはたくさんやるようになります。20代の頃はすぐにほぐれていた体も30代になるとなかなか温まりませんし、やわらかくもなりません。時間をかけて準備運動するようになります。
あとケガしそうな場所にはテーピングテープを巻いておくとか、そういう予防的なこともやっていましたね。前述の手首のケガした後は、治っても手首にテーピングを巻いていました。ほぼほぼおまじない的な意味しかなかったのかもしれませんが、再び変な方向に手首が曲がってケガしないようにテーピングで固定したりしました。
指などは、かなり練習で酷使するので、アイシングといって氷で冷やしたりもします。野球のピッチャーが練習後に肩や肘を氷嚢などで冷やすのと同じ感じでしょうか。氷がない野外では川の冷水で冷やしたりもしていました。人によっては、全身川でアイシングというツワモノもいましたね。
一般論に終始してしまいましたが、クライミングとケガはかなり密接につながっています。というのは、クライミングで自分の限界のグレードを試すということは、自分の体の限界に近い動きをするわけです。体の様々な場所に限界近い負荷をかけないと、自分の最高グレードを更新できなくなってきます。
限界を超えちゃうとケガに繋がるし、限界ギリギリのところでクリアできれば、自分の最高グレードが更新できます。そのギリギリの攻防がクライミングの上達なのでしょうから、多少はケガしないようにコントロールしつつ、クライミングを楽しんでください。